2013年10月27日 (日)

涙する

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 猫の子と人生につき語り合う泣いてばかりじゃ生きてはゆけぬ

 

                                                              

以前は泣くことでこころに溜まった澱を洗い流すようなとことがあった。

けれどいつしか泣くこともなくなった。

これはひとつの老化現象かもしれないし、それだけいろいろなことに

耐える力が備わったのかもしれない。

じぶんの感情に素直に泣けた頃をとても懐かしいと思う。

そしてこの先、もし手放しで泣くことがあるとすればそれはどんなときなのだろうと

楽しみでもあり、怖くもある。

 

 

2013年10月26日 (土)

あしたのそら

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 疲れたと膝を抱えるきみのそば あしたのそらの尻尾を掴む


                                                              

ひとがだれかを救えるなどということがあるのだろうか。

ずっとわたしは助けられる=救えるなどと思っていた。

けれどその思いは今はない。

ほんの少しの手助けならできるかもしれない。

けれどそれは本当に些細な手助けであってだれかを救うことは

できないと今は考えている。

救えるのはそのひと自身しかないのだと。

まわりができるのはそのためにそのひとに手を差し出すことくらいだと。

しあわせは与えられて得ることはできない。

自分自身で培ってこそのものなのだと思う。

 

 

2013年10月24日 (木)

背骨の声

 

A0027_002659                                                                                      かなしみのかなしみの声聴こえたら 痩せた背中の骨なぞらえる                                                                                                                                                                                                                                                      

     

                                                                  

どうやりすごしたらいいのだろうと思う夜がある。

なにもできない無力さを抱え、なにかできるのではと思った傲慢さを憎み

ただただ頭を垂れて祈るしかない。

なにに祈ればいいのか、神も仏も信じていないくせにと思いながら

無心にひとつの命のことを考える。

どうか、どうか、とそればかりを考える。

その背中はわたしのためにあるのだから。

                                                  

 

赤子

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生まれたよ産声あげて風の子がびゅーと泣いては色づく葉っぱ

                          

 

 

春と秋、この季節になると四季のある国に生まれてよかったと思うようになる。

それもつい最近のことなのだが。

それまでは色づく葉っぱを目にすればうつくしいと感じるがわざわざ

自分からすすんで観ようとは思わなかった。

今も遠方まで紅葉を観に行きたいとは思わないが身近な木々の変化に

目を奪われることがある。

通勤の途中、休日に、まわりの木々にこころ惹かれるのだ。

自然はうつくしくもあり、その厳しさを知らしめてもくれる。

わたしはこの星に住む生き物として自然を敬い、畏れるもので在りたい。

 

 

2013年10月22日 (火)

いわしなそら

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のびをするいわしが泳ぐそらのした垂れた釣り糸かかる秋晴れ

 

                                                               

                                                          

さかなが好きだ。

秋刀魚にはじまり、いわし、鯖、鯵、とにかくさかなは全部が好きだ。

子どもの頃は夕食に焼き魚、煮魚だとがっかりしたものだが

今となっては肉よりさかなである。

はやく秋晴れの空がみたい。

そこに泳ぐいわしの群れをみたいのだ。

どこまでも高く澄んでいる秋の空ほどうつくしいものはない。

いわしが泳いでいたらいうことなしだ。

今度来るであろう台風が無事に過ぎ去ることを祈るしかない。

 

                                                

                                                      

泡となる

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  手を繋ぐソーダー水に寄り添ってただ一粒の泡となるまで

          

 

恋というのはさみしさや孤独を覚えるためにあるのではないかと

最近思うようになった。

ひとを求めるほどにそれらは増す。

さみしさや孤独はひとにとって不可欠だ。

愛情が不可欠なのとおなじくらいに。

生まれてすぐにわたしたちは両親や家族から、またはまわりの大人から

多くの愛を与えられて育つ。

そして恋をすることで孤独を覚え、それゆえに愛情を育てることができるのだと。

太陽と月のように、陽の光と影のように、孤独と愛情は表裏一体なのだと思う。

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水のなか

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水のなかこの身が切れる冷たさも泳いでみればやれ温かい

                                                                                                                                         

                                                                  

わたしの生活はこの数年で大きく変わった。

そこには別れや出逢い、愛しさや憎しみが存在する。

何度もうだめだと思ったことだろう。

何度もうお終いにしようと考えたことだろう。

けれど今こうしてわたしはここにいる。

状況に順応し、環境を受け入れ、適応することで

わたしがわたしらしくいることができる。

人は弱いと思う、またその弱さと同じくらい強い生き物だと

しみじみ思う。

つよくしなやかに、そしてたおやかに生きたいと願ってやまない。

 

 

 

蜜色の眠り

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 片づける眠りのなかの引き出しにご苦労さまと今日をしまう

                              

                                           

                                          

                                                                                            

眠りにまさる良薬はないと思う。

身体もこころもそのバランスさえも眠りの神さまが見守っている。

今夜、こうしているときやはりわたしと同じように眠れないひとがいる。

わたしはいいのだ。

だって昼間あきるほど昼寝をしたのだから。

だからどうかあのひとを眠りの国へ連れて行って欲しい。

そこでなら苦しみからも解放される、たったひと時でも。

夢をみてください。

明日へつながる夢を。

                                                                  

そろり

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その背中わたしの頬の置き場です 闇にまぎれてそろり抱きしめ

                               

                               

 

                                             

                                                          

だれかに頼られ、だれかに頼り、心の平安を求めながら足掻き苦しむ。

確かなものなどどこにもないのだと思いながら

確かさを欲しがり言葉を欲する夜もある。

けれどその思いはわたしの口からでることはない。

口にしなくても思いは伝わることを知っている。

ただ黙って抱きしめさえすればいい。

                                                                 

                                    

夕暮れ

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人ごみの足もとだけをみつめて帰る そこにあなたがいやしないかと 

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仕事を終え帰宅する途中、懐かしさを覚えることがある。

想像するのだ。

玄関をあけるとそこにいるはずの人を。

もういないことはわかっていながら、そんなことを考えるのが

さみしいようなうれしいような複雑な心境になる。

どちらにしても心はあたたかい。

 

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