31文字ものがたり Feed

2017年6月26日 (月)

未来

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 雨上がりこんなに空は青いのに長靴はいてジャンプする夏

                                       

小さくて、危なっかしくて目が離せなかった幼子が

ランドセルを背負って、ひとりで横断歩道を渡るようになった。

その成長をみるたびに、ひっそり忍び寄る老いを感じることがある。

いやまだどこかわたしにも成長できる箇所があるのかもしれない。

そうこれからできるなにかがきっと、ある。

2017年6月25日 (日)

邂逅

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終わりです終わりの時が来たのです。影を踏みつつ去ってみますね。

                                       

時とは残酷なものである。

時間の中で人は変わってゆくからだ。

本人が望むも望まないにしても、誰しもが変わってゆく。

巡り合った時から、別離への道が始まるのだ。

今日そっと別れを呟いた。

2016年10月17日 (月)

しじまめくり

                                                                                                                

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  この本の25頁に隠れてた痩せた横顔しじまになぞる

                                                                            秋の夜長に子猫を膝に乗せながら本を読む。

繰り返し読む本は懐かしく、昔を思いださせる。

子猫のごつごつした背骨も懐かしい人を彷彿とさせる。

黒革の表紙を開けばあなたはそこにいる。

やさしい時を張り巡らせて柔らかな毛布の中と

子猫の温かさに胸が痛む。

 

2016年8月16日 (火)

手のひら

        

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 手のひらで産まれたような猫を抱くしめった体温こわさぬように

                                      

緑がまぶしい5月に仔猫を拾った。

やせっぽちで背骨がごつごつと浮き出たような身体をしていた。

捨てられたのか、親猫とはぐれたのか定かではないが

拾ったときから人に怯えることもせず、甘えてくるこだった。

我が家の猫たちともようやく慣れ今では元気に家中を走りまわっている。

このちいさなものと巡り合えてよかったとこころから思う。

2016年3月21日 (月)

ひかりのなかで

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陽のあたる窓辺でひかる髪を梳くあなたの母になってみたいと

                                                                                                   

こどもの成長はなんと早いものだろう。

髪がぽやぽやでまったく伸びず、だいじょうぶかと心配したのが

昨日のことのように感じる。

肩まで伸びた髪で時おりひどく大人びた顔をすることがある。

どんな大人になるのだろう。

楽しみでもあり、いつまでも子供のままでいて欲しい、それが本音だ。

2016年3月10日 (木)

雨音

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  雨音を聴いて手袋ぬぎすてる蕾ふくらみ触れ合う指先

                                                                                                                                                                    

暖かくなったと思ったら今夜は冷たい雨。

この雨は春を連れてやってくる、冬の別れの雨だ。

もうウールのコートやマフラー手袋ともさようなら。

ベランダの小手鞠がいまかいまかと咲くときを待っている。

春の眩しさは少し苦手だが心静かに花でも愛でよう。

2016年2月29日 (月)

猫な夜

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  おやすみと黒猫の頭なでながら光らぬスマホ強制終了

                                                     

寒い冬のあいだは暖房の入らないわたしの部屋に猫はなかなか寄りつかない。

仕事に行っている間にベットに潜り込んでいるくらいだ。

けれど朝は必ずといっていいほどドアをカリカリとやりわたしをたたき起す。

水を飲みにやってくるのだ。

リビングとキッチンそれぞれに水は置いてあるのだが

なぜか朝はわたしの部屋の水を飲みたがる。

やはり猫も冷たい水がおいしいと思うのだろうか。

2015年9月17日 (木)

悪党

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        おろしがね、筋金入りの悪党めさぁ神妙にじっと動くな

                                                                                   

 

ほっけの開きを食す。大根おろしをそえて。

大根おろしが好きでほっけとどちらが主役かわからない。

だが難点があのすりおろす作業だ。もったいないので切った大根はすべて

おろしてしまいたいのだが、小さくなればなるほどおろしがねがじっとしていて

くれないのだ。うっかりすると指先まですりおろしてしまう。

手間ひまかけるから美味しいのかもしれない。

 

チョコレートな秋

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ふわふわのチョコレートムースになってみるカカオかおらせあとかたもなく

 

姪っこのおやつにチョコレートムースをつくってみた。

お菓子をつくるのは本当にひさしぶりだ。

チョコレートはどこまでも甘く、生クリームと溶け合いふわっふわだ。

舐めるように食す姪の笑顔、あぁなんと至福の時。

コーヒーを飲みながら窓からの秋風も心地よく、休日を堪能した。

 

2015年9月 7日 (月)

美味なるもの

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 行く末を案じて死んだひとがいる秋刀魚のような美味なひとです

 

                          

魚が好きだ。鯵、鰹、秋刀魚がとくに好きだ。

秋刀魚に大根おろしがあれば言うことがない。

ただし、大根おろしのない秋刀魚は味気ないばかりでなく、おいしさに欠ける。

秋刀魚と大根おろし、海のものと土のものがいつから仲良しになったのだろう。

どちらがかけてもいけないが、大根おろしはほかの魚とも仲良しな

少々浮気性なところがある。

お互いがお互いを引き立ておいしさをます、そんな関係がいい。

2015年9月 5日 (土)

プレス

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ほらごらん、さみしさプレスしているよ祈るようにどこまでもピンと

 

 

 

九月はなにかと心落ち着かぬ月だ。

今年は秋風が吹くのもはやく、例年より季節の移り変わりを強く感じる。

かなしみがないといえばやはりそれは嘘なのだろう。

けれどそれはかなしみというよりもっと違うようなものの気がしてならない。

人はいつしか必ず死ぬようにできている、それはわたしも同じなのだから。

わたしのしあわせをあなたに伝えたい。

 

 

2015年2月 4日 (水)

夜更けのコンビニ

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夜更けすぎ昨日を連れて散歩する買って帰ろうコンビニのあした

 

真夜中に突然コンビニに行きたくなることはないだろうか?

わたしはごく稀にだがそうした時がある。

たいていが夜更けすぎというより、朝方近くといったほうがいいだろう。

急いで欲しいものがあるわけでもない、ただなんとなく

外にでたくなり、ふらりと寄ってしまうのだ。

ごく稀にだが、そんなときが今でもあるのだ。                                                                                                                                                                                                                                                                            

2015年2月 1日 (日)

やさしい冬

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   靴下を干そうとしたらでてきたよ柔軟剤がやさしいね、冬

 

冬は洗濯物の乾きが悪い。

晴れた日に朝から干してもなかなか乾かない。

でも、乾きが悪くてもやっぱり外で干したいのだ。

洗濯物が干してある家というのはそれだけで落ち着く気がする。

以前はそんなこと考えもしなかった。

面倒だとすぐに浴室乾燥かけたりしていた。

冬のまだ脆弱なお日さまで乾かされた洗濯物には

いつか春のひだまりが入っている気がする。

 

2015年1月29日 (木)

月を抱く

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  猫の目が微笑むような夜が来てあなたが抱いた月を見あげる

                                                  

 

夜というのはあたたかい。

一日の疲れも嫌なことも取り除いてくれる、わたしにとっては癒しの時間だ。

以前は夜になるとマイナスなことばかり考えることもあった。

今は眠れぬ夜も、眠りたくない夜も、自然と寝てしまう夜もすべてを委ねるように

リラックスすることができる。

そんな時間がとてもいとおしい。

 

 

2015年1月27日 (火)

さくら予報士

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  襟足でさくらの開花予想するマフラーはずし風邪ひく予報士

                                                                                                                                                                                                         

                                                  

まだまだこれから雪が降ってもおかしくないというのに、

もうすでに春を待ちわびている。

格別、春が好き、寒いのは嫌いということはないのだが

まだ寒さが残る、でもそんな中でも緑の息づかいを感じる春が

とても恋しいのだ。

毎年、春はおおいぬふぐりの青い花を見つけた日から始まる。

 

2015年1月24日 (土)

口ずさんで

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 泣きはらし睫毛にしずくつけたまま口ずさむのは勇気の歌です

                                                   

 

こどもが風邪をひいた。

咳と熱と鼻水でとても辛そうである。

それでも遊びたいと言っては北風がびゅーびゅー吹く日に

外にでたいと言い張り親に甘えてみせる。

いつもなら怒られるが今なら怒られないのを察知しているのだろう。

抱っこをせがんでは狸寝入りをして笑わせている。

こうして少しずつ強くなっていくのだ。

いっしょに勇気の歌を歌おうじゃないか。

 

2015年1月18日 (日)

つぼみ

 

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 ゆきの日に産まれたきみが連れてきた春の野原でつぼみがひらく

                               

 

あしたは姪の4才の誕生日だ。

ほんとうに、小さく小さく産まれた彼女は今もやはり小さいが

顔つきが大人びてきた。

母親と対等にけんかをし、怒られれば屁理屈をこねるまでになった。

笑顔の似合う、お日さまのようなあたたかな子に育ってほしい。

 

 

2015年1月11日 (日)

シロップシロップ

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きみの手がひだまり集めとろけだすメープルシロップそのものですね

                                                      

  

ホットケーキを久しぶりに食べた。

バターをのせシロップをかけたそれはあまく、まるでこどものような匂いがした。

なぜこどもというのはあんなにあまい匂いがするのだろう。

あまいものを食べるから?

なんと言えばいいのだろう、身体中があまくできているような気がするのだ。

それも今だけの話しなのだろう。

 

2015年1月 8日 (木)

星になるとき

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   ほらごらん炭酸水の泡たちがからだを巡り、やがて星になる

 

 

炭酸水片手に生まれ変わる。

何度も挫折したが、決心をした。

星になるまえに、ゆっくりと細胞を、すべてを、いれかえるのだ。

ゆっくりと確実に。

寒空と手袋と

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  寒空に手袋かたっぽ落としてる きつねの家に届けてきます

 

 

手袋が欲しいと思っているがなかなか気にいたものに出会えず

がっかりしながらも、どこかでほっとしている。

本当に気にいったものとの出会いは運命だと思う。

だからひとたび気にいってしまえば、高かろうがなんだろうが買いたい衝動を

抑えることができなくなるのではないかと。

反対にどんなに気にいってもあきらめざるえないのも、また運命。

今使っている手袋に穴でもあいたら本気で探す旅にでよう。

 

 

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