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2014年2月26日 (水)

菫色

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   あのひとの吐息はいつも菫です溶けゆく雪の儚さうつし

                                  

 

こどもの頃、すみれはどこにでも咲いている花だった。

密やかにという言葉が似つかわしい、可憐で古風な花というイメージがある。

最近では道ばたや公園に行ってもみることができなくなってしまった。

すみれだけでなく、おおいぬふぐりやつくしなども見かけられなくなった。

花と戯れることのできないこどもにどんな風に自然の美しさや大切さを

伝えたらいいのだろう。

 

2014年2月24日 (月)

雪どけ

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 せつなさを櫛で梳かして目をふせる睫毛のさきで雪どけを聴く   

                                               

 

巡らない季節はない。

溶けない雪がないように春は必ずやってくる。

けれどひとのこころは冬の期間があまりに長いと凍え、

やがて諦めと無情に支配されてしまうことがある。

うつむいて歩みを止めてしまうと、また歩きだすまでに力がいる。

冬の寒さに凍えうつむきたくなったら、目をふせながらそっと歩いてみる。

春はすぐそこまで来ていると信じて。

        

2014年2月22日 (土)

雪花

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 この想い雪花に告げて溶けてゆく好きでした、あぁ好きです今も

                                                    

 

止まらぬ想いに恐怖心を抱いたことがないだろうか。

「想い」というものほどひとの思い通りにならないものはない。

もういいと諦めたつもりでも、諦め切れていなかったり、

ある日突然思いもかけないじぶんの「想い」に気づくこともある。

そんなままならない人間だからこそ楽しいのかもしれない。

2014年2月14日 (金)

別離

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  手を離す準備はできたでかけよう愛のことばはさよならがいい

                                                         

 

はじめての別れは子どもの頃に死んだ飼い猫の死だったろうか。

飼い猫といっても縁側で飼う半分ノラ猫だった。

それでも雨の日に死んだのを今でも憶えている。

それから多くの人との「別れ」を経験したはずだ。

けれど別れに慣れることはなかった。

最近ようやく別れがあるからいいのだと思えるようになった。

束の間の別れと束の間の愛の中で生きようと思う。

 

2014年2月 5日 (水)

ビートバン

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  こんこんと溢れる水に溺れかけビートバン抱き蛇口をさがす

                                            

 知らず知らずのうちに溺れてしまうこと、

わかっていて溺れてしまうこと、またその溺れかたも様々だ。

わたしのビートバンは今どこにあるのだろう。

いつ何時、溺れるかだれにもわからないのだから

ビートバンの在りかだけはわかっていたい。

ビートバンがなくなっていたら、今からでも手にいれよう。

2014年2月 4日 (火)

かなしいほどに

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 夜が降るきのうも降った今夜もね、かなしいほどにやさしいひつじ

                                                        

 

眠れない夜がある。

そんな夜が嫌いではない。

疲れて早く寝てしまう夜がもったいなくてしかたがない。

この眠りにつくまでの時のなんという贅沢なこと。

一日のすべてを癒す眠りに今夜も身を委ねよう。

明日のために。

 

2014年2月 3日 (月)

切り抜く

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チョキチョキと切り抜いたのは嘘泣きです天使の羽と切れないハサミ

                                                      

                                                            

我が家の天使は一日のほんの束の間、天使であり

あとはたいてい悪魔の申し子のような有様である。

嘘をつき、嘘泣きをする。

それもばればれの嘘をつき、ばればれの嘘泣きをする。

全身でじぶんを見て欲しい、かまって欲しいとアピール。

たまに泣き顔がみたくて泣かせてみたりもする。

いまさらだが母になりたかったとも思う。

2014年2月 1日 (土)

いまも

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  この星がいまもほんとに青いのか海をしらない青虫に聞く

                  

 

世の中のほとんどのことをわたしは知らない。

知っているのはほんとうに極一部のことだけ。

それも正しいかどうかなんてわからない、ただ単に知っていると

思いこんでいることだって大いにある。

でも大切なのは知っているかどうかよりも知ろうとするかどうか

なのかもしれないとぼんやり思う。

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